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コラム
「まだ大丈夫」は最大のリスク。事業承継の準備を今すぐ始めるべき理由
事業承継は、すべての経営者にとって避けては通れない経営課題です。
一方で、「まだ元気だから大丈夫」「今は日々の経営で精一杯で考えられない」と、後回しになってしまうケースも少なくありません。しかし、事業承継は準備に5年から10年程度の期間を要するといわれており、“必要になってから考える”のでは間に合わない可能性があります。そのため、できるだけ早い段階から準備を始めることが重要です。
この記事で分かること
✓ なぜ事業承継は早めの準備が必要なのか
✓ 準備が遅れることで起こるリスク
✓ 今から始めるべき3つのポイント

なぜ事業承継は早期準備が重要なの?
事業承継は、タイミングを誤ると、会社の将来に大きな影響を及ぼすリスクが高まります。
ここでは、事業承継の早期準備がなぜ必要であるか、その理由を3つの観点からご説明します。
1 後継者が決まらず、事業継続が難しくなる
事業承継において大きな課題となるのが、後継者不在です。
親族や社内に適任者が見つからず、時間だけが過ぎてしまうケースは少なくありません。後継者が決まらない状態が続くと、経営判断の先送りや中長期的な投資判断も鈍りやすくなります。また、従業員や取引先に将来の不安を抱かせてしまい、人材流出や取引縮小を招く可能性もあります。さらに、経営者が急病や事故などで突然経営から離れることになれば、経営が混乱し、事業継続リスクにつながります。

2 承継方法の選択肢が狭まる
事業承継には、親族内承継、従業員承継、M&Aによる第三者承継など複数の選択肢があります。しかし、準備を始めるのが遅くなるほど、選択肢は限られていきます。
例えば、親族承継でも後継者育成には時間がかかり、社内承継でも、経営人材の育成や資金面の整理が必要です。また、M&Aによる第三者への承継も、相手先の選定から条件調整、引継ぎまで一定の期間を要します。つまり、早く動くほど選択肢は広がり、遅れるほど選択できる範囲が限られてしまう可能性があります。

3 事業承継の最適なタイミングを逃してしまう
事業承継は、会社の業績や市場環境などを踏まえ、自社にとって最適なタイミングで進めることが重要です。
しかし、準備が遅れてしまうと、経営者の高齢化や市場環境の変化などにより、より良い条件で承継できるタイミングを逃してしまう可能性があります。また、その間に業績や経営環境が変化し、企業価値の低下につながることもあるため、希望する条件での承継が難しくなるリスクがあります。

事業承継の最適なタイミングは?
では、事業承継はいつ考え始めるのがよいのでしょうか。
結論から言えば、「まだ早い」と後回しにしがちな時期こそ、事業承継を検討する最適なタイミングです。具体的には、以下3つのタイミングが挙げられます。
1 経営が安定しているとき
事業承継は、会社の経営や業績が安定しているタイミングで行うことが理想的です。
収益が安定している状態であれば、後継者の育成や引継ぎにも余裕を持って取り組むことができます。一方で、業績が悪化してからの対応では、経営の立て直しと承継準備を同時に進める必要が生じ、負担が大きくなります。
2 後継者の準備が整っているとき
後継者の育成が進み、経営を引き継ぐ準備が整ってきたら、事業承継を具体的に進めるタイミングです。後継者の育成に加え、自社の業績や財務状況、組織体制など会社側の準備も必要となります。後継者と会社の双方が準備を整えることで、円滑な事業承継につながります。
3 経営者自身が元気に判断できるとき
事業承継は、経営者自身が冷静に判断できるうちに進めることが大切です。
厚生労働省の統計では、日常生活を支障なく送れる期間を示す健康寿命は男性約72歳、女性約75歳とされており、事業承継の準備には一般的に5年から10年程度かかることも踏まえると、60代に入る前後から検討を始めることが望ましいと考えられます。
事業承継を成功させるために、まず何をするべき?
事業承継を成功させるためには、早い段階から計画的に準備を進めることが重要です。
ここでは、まず取り組んでおきたい3つのポイントについてご説明します。
1 自社の状況を整理する
事業承継を成功させるために、まず必要なのは、自社の現状を正しく把握することです。
業績や財務状況、株主構成、経営体制に加え、自社株の保有状況や株価を整理することで、承継に向けた課題が明確になり、自社に適した承継方法や今後の準備の方向性を検討しやすくなります。
2 承継方法を整理する
事業承継には、親族内承継、従業員承継、第三者承継(M&A)など複数の方法があります。まずは、親族や社内に後継者候補がいるか、本人に承継の意思があるかを確認することが重要です。後継者候補の有無や意思によって適した承継方法は異なります。近年では、後継者不在の解決策としてM&Aを活用する企業も増えています。M&Aは、「会社を売る」ことが目的ではなく、これまで築いてきた取引先や従業員との関係を守りながら、事業を次世代へつないでいく前向きな手段として注目されています。それぞれの特徴を理解したうえで、自社の状況に合った承継方法を検討し、計画的に準備を進めることが大切です。
3 早めに専門家へ相談する
事業承継は、税務・法務・財務・人事など多くの論点が関わるため、経営者お一人で整理するのは簡単ではありません。
早い段階で専門家に相談することで、自社の状況に合った進め方や課題を整理し、計画的に準備を進めることができます。
「何から始めればよいかわからない」という段階でも、まずは相談することが事業承継への第一歩です。
まとめ
事業承継の成否を分けるのは、「いつ引き継ぐか」ではなく、「いつ準備を始めるか」です。
後継者不在、企業価値の低下、選択肢の縮小といったリスクは、準備の遅れによって大きくなります。一方で、早めに準備を進めることで 、選択肢の幅が広がり、自社に合った承継方法で会社をより良い形で次世代へつなぐことができます。「まだ早い」ではなく、「今だからこそ考える」その一歩が、会社の未来を大きく左右します。
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