case
支援事例
ここで伝統技術を途絶えさせない。明治創業の「水うちわ」を守り抜いたM&A
譲渡企業
- 業種
- 手作りうちわ専業メーカー
- 所在地
- 岐阜県
- 従業員数
- 5名未満
- 譲渡理由
- 後継者不在、技術の継承のため
譲受企業
- 業種
- 和紙製品メーカー
- 所在地
- 岐阜県
- 従業員数
- 100名未満
- 譲受目的
- 事業拡大のため
「大切な技術を絶やしたくない」という譲渡企業の想いと、「その想いを受け継ぎ、さらに発展させたい」という譲受企業の熱意。
この両社の想いが重なり、成約にいたるまでのストーリーをお届けします。
M&A後の経営者(譲渡企業)の事業への関わり方
現在は譲受企業の技術担当として、長年培った職人技を次世代へ繋ぐための技術指導を行っています。
譲渡企業・譲受企業のご紹介
譲渡企業
明治創業の老舗として、伝統工芸品「岐阜うちわ」の製造・販売を行う専門店です。熟練の職人が全工程を手作業で行い、美濃和紙と良質な竹を使用した「塗りうちわ」や「渋うちわ」、透き通る「水うちわ」を製作しています。
譲受企業
美濃和紙の伝統を活かした、こだわりの紙文具やステーショナリーの企画・販売を行うメーカーです。現代のライフスタイルに寄り添う、可愛らしくて温かみのある商品を発信しています。
M&Aに至った背景
―まずは、譲渡企業の社長であるA様にお伺いします。
今回、M&Aを考えられたのは、どのようなきっかけからだったのでしょうか?
譲渡企業 A様 : うちは代々家族で事業を継承してきましたが、親族の中で事業を引き継ぎたいという者がおらず、ずっと後継者不在の悩みを抱えていました。
そんな中、私自身が体調を崩してしまったこともあり、『一体いつまで家業を続けられるのだろうか』という漠然とした不安を覚えるようになりました。そこで、長年培ってきた大切な伝統を次の世代へしっかり繋ぐために、思い切って第三者への承継を検討し始めたのがきっかけです。
―伝統を途絶えさせないためのご決断だったのですね。
一方、譲受企業の社長であるB様は、どのような想いでM&Aを決められたのでしょうか?
譲受企業 B様 : 私たちは、もともと自社でも水うちわを販売していたこともあり、NOBUNAGAサクセションの担当者さんから譲渡企業のお話を伺ったとき、とても興味を惹かれました。
私たちの扱う和紙製品の商品ラインナップを充実させ、ブランドイメージをより高めていくためにも、ぜひこの手作りの伝統技術を一緒に守り、未来へ繋げていきたいと考えました。そこから、伝統文化を守り、発展させることに熱意を持って、今回の資本提携を決めました。
想いと社風が響き合って生まれたご縁
―お互いの「伝統を守りたい」という想いが重なったのですね。
NOBUNAGAサクセションの担当者Cさんにお伺いします。
今回の案件が成約へと至った最大のポイントは、どのような点だったのでしょうか?
担当者Cさん : 最大のポイントは、地域に根差した私たちならではの情報力を活かし、事業内容だけでなくお互いの社風や大切にしている価値観までを見据えてお繋ぎできた点にあります。お取引店との日々のコミュニケーションや対話をもとに、譲受企業の事業内容や方向性を分析する中で、『譲渡企業の伝統技術や水うちわに、関心を示してくださるはずだ』と確信しました。さらに、譲受企業の温かみのある社風や、B様のお人柄が、譲渡企業の伝統を守る想いや雰囲気にぴったりマッチすると考えました。
実際にご提案した後も、譲受企業は、岐阜市屈指の観光名所であるエリアに店舗を構える譲渡企業の『立地と歴史の価値』を誰よりも深く理解してくださいました。このように、地域の歴史的価値を大切に思い、企業の事業内容だけでなく社風や経営者のお人柄までを深く理解していただけたからこそ、このマッチングが実現して成約へと繋がったと考えています。
M&Aが生み出すシナジー
―お互いの「人柄」や「歴史の価値」への共感があったからこそのご縁だったのですね。
譲受企業の社長であるB様にお伺いします。
実際にM&Aが成立してから、どのようなシナジー(相乗効果)が生まれましたか?
譲受企業 B様 : 私たちは、もともと美濃和紙を熟知していましたし、自社の小売店で水うちわを販売していたので、職人の高い技術を引き継ぐハードルが、新しく参入する会社に比べて低いという強みがありました。おかげさまで、歴史ある伝統技術に支えられ、より付加価値の高い自社商品を新たなラインナップに迎えることができました。
さらに、観光客の皆様へ直接アプローチできる魅力的な店舗チャネルを新しく獲得できたことも大きな強みです。この拠点で私たちの既存の人気文房具なども展開できるため、単なる技術の継承に留まらず、新しい和紙カルチャーを届ける強力な販売・発信拠点としての相乗効果を期待しています。
M&A後の変化
―譲渡企業の社長であるA様は、今回のM&Aによってどのような効果を感じられていますか?
譲渡企業 A様 : 私たちにとっては、大切なブランドの継承が実現できたことはもちろんですが、組織で製造を担う体制を整えてもらえたおかげで、より多くの方に伝統ある『水うちわ』を届けられるようになったことが何より嬉しいですね。職人の技がこうしてしっかり未来へ残る形になり、本当にホッとしています。
―技術が組織で守られる体制になり、本当に素晴らしいです。
譲受企業の社長であるB様にお伺いします。現在は店舗のリニューアルも進められているとのことですが、今後はどのように変わっていくのでしょうか?
譲受企業 B様 : はい、現在はスピーディーな伝統技術の継承に加えて、店舗兼作業場のリニューアルを進めています。店舗がある地域は、長良川鵜飼の乗船場があって景観計画重要区域に指定されている、国内外から観光客が訪れる岐阜市屈指の風情ある観光名所です。そこでの涼しげな『水うちわ』は、まさに夏の風物詩となっています。
この店舗を、美濃和紙の温かみと伝統美が融合した新しい空間へと生まれ変わらせ、看板商品『水うちわ』の魅力を身近に体感できる一大拠点にしていきます。老舗の伝統技術と現代の企画力を掛け合わせて、職人の技を次の世代へ繋ぐとともに、現代のライフスタイルに寄り添う新しい和紙カルチャーを、歴史ある岐阜の街並みから多くの方へ届けていきたいですね。
NOBUNAGAサクセション担当者からのコメント
長年培ってきた技術やブランド、そして地域の歴史的価値をいかに守り、次世代へ託していくか。後継者不在や将来への不安を抱える多くの経営者にとって、今回の事例は大きな希望となる成約事例です。
大切なのは、目に見える数字や条件だけでなく、お互いの『想い』や『社風』が心地よく響き合うお相手と出会うことです。
私たちNOBUNAGAサクセションは、地域の歴史と経営者一人ひとりの志を誰よりも深く理解し、単なるマッチングを超えた『企業の未来を共に創るご縁』を全力でサポートいたします。少しでも不安をお持ちであれば、ぜひお気軽にご相談ください。
